仙台を出発した芭蕉は、多賀城跡へと歌枕の「壺の碑」をたずねます。多賀城は奈良時代から10世紀なかばまで、みちのくの政治的・軍事的な要衝として栄えました。その後、末の松山を経て元禄2年5月9日(陽暦1689年6月25日)の早朝に歌枕「しほがま」を象徴する鹽竈神社へ参拝。そこは奥州の一宮で、伊達政宗が再建した荘厳な古社です。
芭蕉が歩いた道のりに、森村誠一&おくのほそ道再生委員会が光を当て、現代、そして未来に残したい名勝地を‘名蕉地’と名付け、ベスト100景をセレクトしました。

芭蕉道認定ガイド「芭蕉人(ばしょうびと)」が旅人をご案内。芭蕉の足跡やご当地グルメなど地域の魅力が詰まった体験プログラム。
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ガイド紹介

鈴木 和榮さん
退職後に参加した、地元歴史の勉強会で面白さに魅かれ、一緒に学んだ人々と会を立ち上げ、鹽竈神社を中心にガイドをしています。
塩竈における芭蕉の想いや、塩竈櫻と文治の神灯、随行者河合曽良の人となりなどを塩竈の名所、産物などとあわせて紹介します。
皆さん、塩竈に来てください!お待ちしております!
芭蕉道を訪れた旅人たちにおすすめの宿、周辺地域で楽しめる体験型プログラムをピックアップしました。より充実した芭蕉道の旅のプランニングにお役立てください。
宮城県・松島
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忠衡ゆかりの奥州の一宮へ
鹽竈神社の参道にて。春浅い東北の身の引き締まるような空気のなか旅はスタート
鹽竈(しおがま)神社は、1200年以上の歴史をもち、奥州藤原氏、それを滅ぼした源頼朝と、代々庇護を受け、江戸時代に塩釜が仙台領内になると、伊達家の庇護のもと「奥州一宮」として、多くの人の崇敬を集めました。伊達政宗は京都・奈良の社寺に劣らぬ社殿の造営を計画し、慶長12年(1607)に完成。その後も造営が続き、芭蕉が参拝したのは綱村が寛文3年(1663)に竣工した社殿で、その壮麗な様子は「おくのほそ道」にもうかがえます。ちなみ現在の社殿は、元禄8年(1695)に着工、宝永元年(1704)に完成したものです。 芭蕉が鹽竈神社を参拝した理由のひとつが、社殿前に今もある「文治燈籠(ぶんじのとうろう)」を自分の目で確かめることでした。この燈籠は、文治3年(1187)に藤原秀衡(ふじわらのひでひら)の三男、泉三郎忠衡(いずみさぶろうただひら)が寄進したもの。忠衡は父秀衡の遺命を守り源義経に仕え、わずか23歳で戦死しました。この500年前の悲劇を、鉄製の燈籠を前に芭蕉は追悼したのです。
202段の石段をのぼり荘厳な社殿へ
鹽竈神社
京の社寺に劣らぬ社殿を…、伊達家の情熱が感じられる華麗な楼門
唐門をくぐった右手にある素木の三間社流造(さんけんしゃながれづくり)の本殿
芭蕉が鹽竈神社を詣でた5月9日(陰暦6月25日)は快晴。奇しくも森村誠一師匠一行が訪れた2009年3月9日の塩竃市も晴れ渡りました。参道入口では、佐藤昭塩竈市長、鹽竈神社の宮司宮司鍵三氏、権禰宜小野道教氏、権禰宜増川元英氏に出迎えいただきました。「おくのほそ道」に「石の階九仞に重なり」とある、急勾配の表参道202段を上るところから、今回の旅はスタート。樹齢数百年の大杉に左右を覆われた石段、見上げれば朱塗りの随身門がそびえます。清浄な空気の中、石段を上がりきり随身門、さらに唐門をくぐると、正面に朱塗りの左右宮拝殿、右手に別宮拝殿があります。
500年前の悲劇に思いを馳せる
文治燈籠
芭蕉が心ひかれた文治燈籠を前に。思いは320年前に、さらに500年前へ
手前が文化燈籠、奥には朱塗り入母屋造の左右宮拝殿が
鹽竈神社は通常の神社と較べ特異な点があります。それは、主祭神が門を入った正面ではなく、右手に祀られていること。これは、伊達家の守護神である鹿島・香取の神を左右宮拝殿に祀り仙台城の方角に向け、藩主が城から遙拝できるように配したため。一方、主祭神の塩土老翁神(しおつちのおじのかみ)を祀る別宮は、難を背負っていただくようにと松島湾を背に建っています。総漆塗の拝殿、素木の本殿と対照的なたたずまいの社殿を参拝後、九代藩主周宗よって文化6(1809)年に寄進された「文化燈籠」、林子平が奉納した日時計(境内のものはレプリカ)などを見学。最後に「文治燈籠(ぶんじのとうろう)」と対面しました。芭蕉がこの地に立ってから320年、藤原忠衡の寄進から800年以上の時を経た燈籠。もの言わぬ赤錆びた燈籠ですが、その前に佇む森村師匠に多くのことを語りかけているようでした。
塩竈のルーツへ立ち寄る
御釜神社
鹽竈神社に隣接する志波彦神社の神門前にて。松島湾を見渡す
鹽竈神社最古の参道である七曲坂を下る
御釜神社にある4基の鉄釜。まさにここが塩竈発祥の地
続いて、東神門を抜け、隣接する「志波彦神社(しわひこじんじゃ)」を参拝しました。参拝後、神門を出ると前方には塩釜港が一望に。標高50mの一森山(いちもりやま)に鎮座する鹽竈神社、志波彦神社は、絶好のビュースポット。芭蕉もこの景色を眺めたのでしょうか。 現在、人々が往来するのは、急階段の表参道および裏坂と呼ばれる東参道ですが、もうひとつ神社創建時からのものといわれる「七曲坂」があります。一行は、この古道ならではの風情をたたえる、つづら折りの坂を下りました。そこから500mほど歩いて街中にある「御釜神社(おかま)」へ。鹽竈神社の末社であり、塩作りの製法を伝授した塩土老翁神を祀っており、日本製塩の起源地であり塩竃市発祥の地とされます。境内には鉄製で直径が180cmある「四口の神釜」、塩を運んだ牛が石に化したと伝えられる「牛石」があります。曾良随行日記に「塩竈の釜を見る」とあり、芭蕉が立ち寄った可能性も。 参拝後は街中を散策しながら、寿司どころとして知られる塩竈でも人気の「すし哲」へ。佐藤市長はじめ宮城、東北の観光にかかわる団体の方々と歓談。親交を深めました。

森村誠一(もりむら せいいち)
1933年埼玉県熊谷市生まれ。青山学院大学卒業後、10年間のホテルマン生活を経て作家活動に入る。『高層の死角』(第15回江戸川乱歩賞受賞)、『腐蝕の構造』(第26回日本推理作家協会賞受賞)、『人間の証明』(第3回角川小説賞受賞)『悪魔の飽食』『コールガール』など数多くのベストセラー作品を著し、本格派推理小説の世界で不動の地位を築く。作家活動40周年にあたる2003年には、第7回日本ミステリー文学大賞を受賞した。
近年は、新たな表現として“写真俳句”の創作、普及にも力を注いでいる。
公式HPアドレス http://www.morimuraseiichi.com/
森村誠一写真俳句館 http://www1.tategaki.jp/morimura/













